Taking NS Solutions to the next level: 2021年に実施した株主提案
日鉄ソリューションズの株主、投資家およびその他の市場参加者の皆様へ
アセット・バリュー・インベスターズ(本社:ロンドン、以下「AVI」)は本日、日鉄ソリューションズ株式会社(以下「日鉄ソリューションズ」または「同社」、東証1部:証券コード2327)宛てにAVIが4月に提出した株主提案に同社が反対を表明したことに回答する書簡を公開しました。
AVIは以下の提案を行っています。
- 前年度の年間配当額65円から2021年3月期52.5円への2009年以来の減配を日鉄ソリューションズが発表したのに対し、同社が1株当たり62円の期末配当を実施し、年間合計配当額87円とすること
- 日鉄ソリューションズの支配株主である日本製鉄株式会社の持ち株比率を63.4%から61.1%に引き下げ、東京証券取引所の新たに定める35%の流通株式比率基準への対応に資するために、過剰な「政策保有株式」の処分を原資とした自社株買いを実施すること
- 取締役に対する株式報酬を導入すること
日鉄ソリューションズが中期経営計画の導入や監査等委員会設置会社への移行、といった提案を受け入れてくださったことを高く評価していますが、同社がAVIの控えめな株主提案に反対を表明したことは極めて残念です。
同社は、65円から52.5円への減配を、「内部留保」やDX投資のためという、曖昧で定量的でない表現で正当化しています。しかし、財務数値を詳しく見ますと、同社は約1,450億円もの余剰資産および投資有価証券を保有している中で、AVIの配当案は、同社の配当案と比べ総額で32億円しか変わらないことがわかります。
同社の総資産の約20%を占めるリクルートホールディングス株式を含む過剰な「政策保有株式」を処分しない理由も、同様に曖昧で数字の裏付けがありません。 また、AVIが提案する自社株買いの総額は200億円ですが、これに対して余剰の現預金同等物・投資有価証券は約1,450億円です。また同社は、東証プライム市場に留まるための流通株式比率を維持すべく、どのように日本製鉄株式会社の持ち株比率を下げるのか、未だ説明がなされていません。
AVIは、中期事業方針の時間軸に沿った中長期的な企業価値向上のためのインセンティブを創出するために、経営陣に対する株式報酬制度の導入を提案しています。同社は、AVIが提案しているような中長期インセンティブスキームを将来的に導入することを「検討してまいります」と曖昧に述べていますが、早急に導入すべきでない客観的な理由はありません。
同社の主要な業績・財務指標の定量化の失敗は、DX投資計画の議論においても顕著に見られます。将来のDX投資計画が高配当の妨げになることを暗に示していますが、同社の中期事業方針をよく見ると、DX投資計画は年間20~30億円であり、年間売上高の1%程度に留まります。
そうした水準にとどまらず、同社は今後5年間で最大500億円規模のDX投資を行うべきだとAVIは考えています。同社は、この規模のDX投資を行うと同時にAVIが提案する配当金を支払い、自社株買いを実行するのに十分な手元資金を有しております。
日鉄ソリューションズが主要な業績・財務指標をより精緻かつ規律をもって分析できていないのは、少数株主と利害が一致しない支配的な株主の影響下にある経営文化によるものと、我々は考えています。AVIは、同社との開かれた建設的な対話に心から感謝しており、今後も継続していくことを望んでいます。AVIは、この控えめな株主提案にメリットがあると考える株主の皆さまが賛成票を投じてくださることを願っております。
2021年5月19日
アセット・バリュー・インベスターズ
最高経営責任者 兼 最高投資責任者
ジョー・バウエルンフロイント
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