1.株主総会の目的事項
剰余金の処分の件
2.議案の要領および提案の理由
(1)議案の要領
第91期定時株主総会(以下、「本総会」という)に貴社が提案し、同総会で承認される剰余金配当に加え、当該剰余金配当と両立するものとして、以下の通り現物配当するものとする(以下、「本現物配当」という)。
(ⅰ)配当財産の種類:東京エレクトロン株式会社(証券コード:8035)の普通株式(以下、「エレクトロン株」という)3,064,414株(以下、「現物配当財産」という)
(ⅱ)現物配当財産の帳簿価額の総額:62,514,000,000円[1]
(ⅲ)現物配当財産の割当てに関する事項
(a)基準株式数:貴社普通株式57株あたり、エレクトロン株1株を割り当てる。
(b)金銭分配請求権:基準株式数を有する株主は現物配当財産に代えて、会社法第455条第2項および会社計算規則第154条の規定に従い算定される額に相当する金銭を交付することを貴社に対して請求することができる。同請求権の行使期間は、(ⅳ)に定める本現物配当の効力の生ずる日以前までとし、その行使期間末日については平成30年6月28日又は別途貴社と合意した日とする。
(c)基準未満株式(上記(a)に満たない株式をいう):基準未満株式を有する株主には、エレクトロン株を割り当てない代わりに、会社法第456条の規定に従い算定される額に相当する金銭が支払われるものとする。
(ⅳ)効力の生ずる日:平成30年6月29日。ただし、平成30年9月28日までに支払われるものとする。
(2)提案の理由
貴社は、日本の放送事業者として社会において他の会社とは異なる特別な立場にあり、良質なエンターテインメントに加え、信頼性の高いニュース、災害時における報道を提供する責任があります。この責任を果たすべく貴社の可能性を妨げることはあってはならず、本提案も決してそのような意図をもつものではありません。
有料動画ストリーミング等の技術によりコンテンツの配信や収益化の方法が変わる中、放送業界は大きな変革期のさなかにあります。このような状況下で、貴社が安定的に機会を獲得し、大切な社会的使命を果たしていくためにある程度一定の資本を保有しておかなければならないことは認識しております。本提案はそれを妨げるものではありません。
余剰資金自体は不当なものではありませんが、貴社の証券ポートフォリオは、その規模と集中性から、株主にも関係者にも必要以上のリスクを負わせていることを示しています。本件に関して役員各位が十分な考慮をしてきたとはいえず、したがって、株主は自ら声をあげ、貴社にとって最善の利益とは何か説明を求める時期にきていると考えます。
貴社の過剰な資本は、同業者との比較においても、また広く一般的に日本の公開株式市場においても他に例を見ないほどです。貴社の資産の72%が、放送事業の運営に関係も必要性もない投資有価証券、不動産および現金で構成されています。とくに、貴社の「政策保有株式」のポートフォリオの比率が異常に大きく(総資産の54%を占め、大手非金融系企業の中で2番目に高い)、またバランスが悪い(政策保有株式の上位5社が総資産の37%、投資有価証券ポートフォリオの67%に相当)というのが現状です。
「政策保有株式」のポートフォリオの中で、東京エレクトロン株式が資産総額の19%、ポートフォリオ全体の35%を占め、最も懸念すべき点です。ここまでの集中投資では、貴社は金融市場の変動に晒されると思われますが、これに対して貴社より適切な理由説明はありません。
コーポレートガバナンス・コード原則1-4では、政策保有に関する方針を開示し、政策保有についてそのリスクを検証することが求められています。
“上場会社がいわゆる政策保有株式として上場株式を保有する場合には、政策保有に関する方針を開示すべきである。また、毎年、取締役会で主要な政策保有についてそのリターンとリスクなどを踏まえた中長期的な経済合理性や将来の見通しを検証し、これを反映した保有のねらい・合理性について具体的な説明を行うべきである。”
平成30年3月1日更新の貴社の最新のコーポレートガバナンス報告書では、政策保有株式について詳細で有益な説明はなく、その正当性については以下の通りおおまかな説明しかなされていません。
“当社グループは、企業価値向上の観点から、取引、業務提携などを総合的に勘案し、経営戦略の一環として必要と判断する企業の株式を保有いたします。”
貴社は、平成29年度有価証券報告書の中においても、東京エレクトロン株式の保有目的について以下のわずかな記載しか設けておりません。
“グループ経営上の取引関係維持・強化のため”
貴社は、会社の資産価値の半分を国内有価証券という小さな器に集約していることにかかるリスクについて、十分な説明も正当性の提示もできていません。両社の取引関係維持・強化の手段という理由では、実際にはそのような関係が存在しないのに、東京エレクトロンの株式保有の合理性を説明することはできません。貴社と東京エレクトロンとのビジネス上の繋がりは54年前に行われた資本注入と、東京エレクトロンによる貴社所有の建物の占有だけであると私共は理解しています。現在の会社の業績にまったく関係のない54年前に発生した取引は、このような巨額の株式保有を正当化するだけの十分な根拠とはなりません。貴社の建物を東京エレクトロンが占有していることも然りです。
東京エレクトロンのような近しい会社との株式の持ち合いや取締役の相互就任は、独立した客観性のある監視から経営陣を隔絶するもので、会社のコーポレートガバナンスの原則に反します。貴社の独立した企業価値特別委員会もこの問題を緩和することなく、かくも大きなバランスシート・リスクを看過し続けてきました。また、取締役会の17名中13名が貴社の社員、すなわち社内取締役であり、一方社外取締役のうち4名中3名は、毎日新聞、電通、株式会社MBSメディアホールディングスの役員で、それらすべてが貴社と株式の持ち合い関係や取引関係にあります。それゆえに、社内のしがらみや利害関係に縛られずに外部の視点から株主の利益を考えた上で監督できているのか疑問であり、貴社の経営陣は事実上、より裾野の広い株主への説明責任から逃れているとしか思えません。
本提案では、まず貴社の資本効率、リスク管理およびコーポレートガバナンスを改善する最初のステップとして、東京エレクトロンの株式保有を40%減らすことを要請するものです。こうして資産基盤を若干縮小することにより貴社の設備投資が妨げられたり、他の関係者や社会に対する義務が果たせなくなったりするとは思えません。東京エレクトロンの株式40%を貴社の株主に配当した場合、1株あたりの配当額は344円となります[2]。
さらに詳しい情報と本提案の詳細な根拠説明は、www.improvingTBS.comをご覧ください。
[1]平成29年12月31日時点AVI予想。ただし正確な金額はAVIには不明。
[2] 平成30年4月20日時点
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